イゴール ミトライの展示会とポンペイ
展示会(2016年5月15日から2017年1月まで)
現代の最も重要な彫刻家の一人、2014年に亡くなったイゴール ミトライの展示会が5月15日からポンペイで始まりますが、すでに有名な名作「デダルス(ダイダロス)」などが、ポンペイ内のヴェーナスの神殿の近くに設置されました。
この他にも大劇場の裏から、アボンダンツァ通り、フォロ(広場)、サビアーネ浴場の庭などに、28の作品が展示されています。
イゴール ミトライは、1944年にドイツで生まれますが、第二次世界大戦の終わりに、家族はポーランドのクラコビアの近くに移住します。
ポーランドで、ベッレアルテアカデミーに通い、有名な画家、タデウス カントールについて、学びます。その後、パリに移り、パリナショナルベッレアルテアカデミーで学びます。
メキシコを旅した後、再びパリに戻り、1974年初めて彫刻の作品も出展し、大きな反響を呼びます。
この成功の後、彫刻に専念するため、パリにアトリエを持ちます。最初の頃は粘土とブロンズの作品に集中しますが、1979年イタリアのカラーラを訪ねた後は大理石とブロンズの作品に専念するようになります。
1983年からイタリアのピエトラサンタに移住し、パリの家と、両方の街を、行き来して住むようになります。
スタイルとしてはクラッシックな作品は、人体の一部が欠けていたり、一部だけだったりして、ポストモダンな作品になります。イゴール ミトライ自身はネオクラッシク様式などを否定して、古典的な作品からは距離を置きます。
「デダルス」などの巨大な作品が、廃墟や、都会の真ん中などに置かれると、周りの空間を完全に変化させる力があって、突然不可解な次元がそこに実現するような錯覚に陥ります。こんな深い体験をさせてくれるのがイゴール ミトライの彫刻です。
今回、ポンペイという特別の場所に設置されるこれらの作品は見逃すことのできないものです。
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筆/ヴェネチア 公認ガイド 田口やよい
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