ドナテッロの三つのキリスト十字架像/「現れたドナテッロ」パードヴァ展示会

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キリスト/ドナテッロ/サンタマリア ディ セルビ 、パードヴァ 修復中のキリスト

 

ドナテッロの三つの十字架/パードヴァ展示会

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キリスト/ドナテッロ/サンタマリア ディ セルビ、  パードヴァ 修復後のキリスト

 

期間/2015年3月28日から7月26日まで

場所/Museo Diocesano  (Duomo広場)パードヴァ

時間/10時から19時まで(月曜/閉館)

パードヴァのSanta Maria dei Servi 教会の中に保存されていた十字架のキリストが、ヴァザーリの記録の中には前から書かれていたのですが、最近書類発見によってドナテロの作品だということが裏付けられました。ただ後期の厚い上塗りがあって修復前まではこれをドナテッロの作品と受けいれる研究家は少なかったのですが、今度修復が終わり、この上塗りが取られて、はっきりとドナテッロの作品だいうことができるようになりました。

記録によると1512年にこの像の顔から血が流れ出るという奇跡が起こり、そのあと大きな反響を呼び起こしたものでした。この後もこの像は深い信仰の対象になり、ドナテッロの名前は忘れ去らてしまいましたが、今日まで保存状態のいい状況で、保たれてきたのはこの信仰のためです。ドキュメント発見の後、今回の修復が行われました。修復の前までは、1800年代に行われた上塗りのためブロンズ像のように見えたこの彫刻ですが、今回、修復によって上塗りが取られ、ドナテッロならでは力強い彫り方、もともとの木彫の塗りの色彩などが現れました。

今回このキリスト像とともに他の二つのドナテッロの有名なキリスト像が陳列されています。

一つは普段はパードヴァの聖アントニオ教会の中央祭壇にある同じドナテッロ作の有名なブロンズのキリスト像です。普段は近づくことのできない中央祭壇の高い場所におかれている十字架で、こんなに近くで、このキリストを見ることができることはめったにありませんし、またこんなふうな照明の中ではっきり見ることもできるのも今だけです。見逃すことのできない機会です。

もう一つは、フィレンツェのサンタクロチェ教会の中にある(1406−08)ドナテッロのキリストの木彫です。

このサンタクロチェ教会のキリスト像は、ブルネレスキがこれを見たとき、そのあまりのレアリズムに驚いて、「なんだ、百姓を十字架にのせたのか」と言ったと言われる有名な像です。ブルネレスキとドナテッロは親友でした。この批評に気を悪くしたドナテッロはが、そんな風に非難をするのだったら、自分が実際にキリストを彫ってみたらいいじゃないかと答えたと、ヴァザーリは書いています。このドナテッロに答えてブルネレスキが彫った像が、フィレンツェのサンタマリアノヴェッラ教会のキリスト像だと言われています。ブルネレスキは、それから約9年も経ってから、サンタマリアノヴェッラのキリスト像を彫りますので、ほんとうのところははっきりしませんが、ある夜、ブルネレスキと一緒に卵を食べようと、卵を持って訪れたドナレッロが、ブルネレスキが覆っていた布を 突然取り払って見せたブルネレスキのキリスト像のできにあまりに驚いて、持っていた卵を全部床に落としてしまったと語り継がれています。二人の競争の元になったと言われるこのドナテッロのキリスト像、そばで、照明の中で見ると感動的です。この像はキリスト埋葬儀式などの(かってはこのような宗教儀式も行われました)時に使われるために、腕が肩のところから下に降りるような仕組みになっているのも興味深いものです。

どれもドナテッロの作品の持つ深い人間味が伝わってくる作品です。このドナテッロの展示会が行われているディオチェザーノ美術館は、他にジャンバティスタ ティエポロの名作「聖フランチェスコ ダ パオラ」などもありますし、同じ広場にはジュスト デ メナブオイの壁画で有名なバティステロ(洗礼堂)もあります。

tel. 049 8761924 / 049 652855
www.museodiocesanopadova.it

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ドナテッロ

1386年にフィレンツェに生まれる。1404年から1407年にかけて、ギベルティの元に弟子入りする。1408年にはドゥオモの裁判所の「ダビデ」を完成する。ギベルティから独立した後の最初の公のコミッションだった.1415年には同じドゥオモのファサードの「聖ヨハネ、エバンジェリスト」を完成する。同じ頃オルサミケレの「聖マルコ」を作り上げる。サンタマリア デル フィオーレ教会の仕事でブルネレスキと友達になり、一緒に最初のローマへ旅をする。このころ名声が上がり、コラッツァイのギルドのために「聖ジョルジョ」を作り、オペラ ディ ドゥオモのための「預言者たち」を請け負う(1436年に完成)。1425年からミケロッツォといっしょに仕事場を持ち、この共同経営の仕事は1433年まで続く。ミケロッツォとともに再びローマに行き(1432/33)、この旅でアルベルティと出合う。プラトから急かされて、トスカーナに帰るが、このころからの作品はすでに全く新しいスタイルのドナテッロだと言っていい。プラト「説教壇」(プラト)、サンタクロチェの「受胎告知」(フィレンツェ)、サンロレンツォ教会のサグレスティアの漆喰とブロンズ(フィレンツェ)、コジモ ディ メディチのための「ダビデ」(1440?)などの名作が続く。1447年から53年までパードヴァに滞在したドナテッロは、聖アントニオ教会の中央祭壇の偉大なモニュメントと、広場の「ガッタメラータ騎馬像」などを完成する。

フィレンツェに帰ったドナテッロは、時代が変わったことを認識しないわけにはいかない。シエナなどとも仕事を続けるが、1466年にその生涯を終える。

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筆/ヴェネチア 公認ガイド 田口やよい

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ドナテッロ/キリスト サンタクロチェ教会、フィレンツェ 1406−1408

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ドナテッロ/キリスト サンタクロチェ教会、フィレンツェ 1406−1408 肩と脇の下に注目、手が下に降りるようになっている。

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キリスト/ドナテッロ/サンタマリア ディ セルビ 、パードヴァ 修復中のキリストの手、指の足りない部分は石膏で補修された。

 

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キリスト/ドナテッロ/サンタマリア ディ セルビ、  パードヴァ 修復後のキリスト

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キリスト/ドナテッロ/サントアントニオ教会 パードヴァ 1443−1449