ヴェネチアカーニバルとマスケラ(その1)

ヴェネチアカーニバル2015年

ジャンドメニコ ティエポロ「サルティンバンキ」/レッツォニコ邸/ヴェネチア

ジャンドメニコ ティエポロ「サルティンバンキ」(一部)/レッツォニコ邸/ヴェネチア

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ジャンドメニコ ティエポロ「サルティンバンキ」(一部)/レッツォニコ邸/ヴェネチア

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ジャンドメニコ ティエポロ「サルティンバンキ」(一部)/レッツォニコ邸/ヴェネチア

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期日/2015年2月7日から2月17日まで

ヴェネチアカーニバルとマスケラ

ヴェネチアのカーニバルは仮面(マスケラ)をした人でいっぱいになります。もともと現実ではないような美しい街が、この仮面をして仮装をした人々でいっぱいになるカーニバルの時期は、街全体が不思議な雰囲気に覆われます。

ところでこのマスケラとはいったいなんでしょう?

マスケラと言う言葉はロンゴバルド民族の言葉『マスカ』と言う言葉から来ていると言われています(643年のロタリ勅令にすでにこの言葉がでてきます)。マスカと言うのは死んだ人をさし、その魂のことを意味します。死の世界の人々のことです。

ラテン語では「ラルバ」は顔という意味もありますし、死んだ人の魂の意味もありました。古代には、死んだ人々の魂は死んだあともこの世界に影響を与えると考えられていました。

実際、仮面の使用は悪からの「清め」の儀式に使われ、また、豊作を願っての鎮魂の儀式に使われました。古代から冬の終わりには、その年の豊作を願っての儀式が行われました。秋に落ちた種は長い間土の中で、死の世界ですごし、春に地上に戻ってきて、生まれ変わります。それゆえ、死の世界の人々がこの世に帰ってきて、豊作を願う祭りに参加することがその年の豊作に必要だと考えられました。こうしてマスケラをした人々は死の国からの使いとしてやってきて、生きた人に交わって、豊作のための儀式に参加するのです。この儀式の一部として、劇が生まれます。こうして仮面劇(ドラマ)が始まる訳です。

この祭りは生と死が交わり、混沌の中から、新しいエネルギーが生まれる混乱の祭りです。社会的な宗教的な規制が一時期中止され、あらゆるものが混濁の中で生まれ変わる時期です。それゆえ、この混乱が大きければ大きいほど、新しく生まれるエネルギーは大きいと考えられました。カーニバルの大騒ぎはこんな所からも生まれます。古代には性的な規制がなくなるのもこの時期でした。人間の性行為が自然の豊作に貢献するとも考えられました。

ルネッサンスの時代には多くの君主がその権威を主張するためにも、壮大な祭りを行いました。レオナルド ダ ビンチや、フィリッポ ブルネレスキなどの有名なアーチスト達もこの祭りのいろいろな出し物を造るのに参加します。特にフィレンツェのメディチ家の下での仮装行列の山車は有名です。

ヴェネチアカーニバルは特に1700年代、ヨーロッパ中の貴族が集まってくる有名なカーニバルになります。

ナポレオン征服と共にヴェネチアカーニバルはその終結を見ます。とくに19世紀、産業革命の時代になり、農民文化が薄れていくともに、他の場所でもカーニバルはだんだんと廃れていきます。

ヴェネチアカーニバルは1970年代の終わりに本質的には観光的な目的で復興されたものですが、ヴェネチアという独特の街、現代人の計算高い意思とはべつに、このアンチックな祭りは、まるで自身の魂を吹き返したように、マジックな雰囲気と共に再生しました。

これは誰の中にも再生への新しく生まれ変わる希望があるからかもしれません。誰もかも一度死んで、古い自分を捨て去って、生まれ変わりたいと望みます。特に仕事という一年中人を縛る灰色の世界に住んでいる現代人にとっては、いつも深いところに沈んでいる希望です。

ヴェネチアカーニバルは最近市の予算不足のため、ずいぶん小規模になったとはいえ、この街の独特さがこの再生の奇跡をいまでも実現してくれる希少な場所でもあります。

最後の頃が一番雰囲気が持ち上がります。

 

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筆/ヴェネチア 公認ガイド 田口やよい

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