フェラーラ、栄華の街、世界遺産の街、時の止まってしまった街

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トレント トゥリエステ 広場

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エルコレ一世 ディ エステ 通り

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サンジョルジョ大聖堂 (側面)

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フェラーラの街

フェラーラを少し歩くだけで、この街が、特殊な街であることにすぐ気付きます。

歩いている人々のリラックスした表情は、古い中心部は、車がなくて、歩くか、自転車だけという、この交通手段だけのせいではないようです。

夏の観光シーズンでない限り、観光客はほどんどいません。もうヨーロッパのあらゆる街が*多数エスニックになっているのですが、この街を歩いている人々はほとんどが地元の人です。街中は、多国籍ブランドの店もない訳ではありませんが、数も限られていて、ツーリスト用の土産屋もそこ狭しと立て込む他の観光都市とはまったく違って、数件です。今では他の街では7件おきぐらいにある中国の店も、ここではひとつふたつです。格調ある古い店が、次々と列んでいて、いつものなじみの客を待っている感じです。喫茶店に入っても、カメリエレ達のあの観光客をすげなくあしらう感じはなく、丁寧に対応してくれます。座ってお茶を飲んでいる人々も、楽しそうで、のんびりしていて、まるで、30年か40年ぐらい前のエレガントなヨーロッパの街のようです。もちろん町並みや、感じは違うとしても、古い伝統がまだそのまま残っていて、このまま続いていく古いヨーロッパに誰も疑いも持たなかった、まるで遠い昔のパリのような雰囲気がまだ少しローカルな感じでここには残っています。

グロバリゼーションとファイナンス中心経済の波に巻き込まれ、今ではヨーロッパのあらゆる都市を覆う事になったあの殺伐とした雰囲気が全くない街、これがフェラーラです。(いつまで、これが続くかは、たぶん時の問題かもしれないのですが)

フェラーラは、ポー河と運命をともにしてきたと言っていい街です。最初の街の起源は街の城壁がつくられた7世紀に遡ります。757年にロンゴバルド王国のデジデリオ王が法王ステファノにこの街を贈呈します。その後、土地の権力者などにその仮支配権を与えたりしながら、法王支配が、時期的に続いていきます。カノッサ、ボニファチョなどの支配のあと、一時期自由なコミューンになりますが、その後も法王派と皇帝派の闘いは、続きます。

1152年にポー河の氾濫で、町は大きく破壊されますが、にもかかわらず闘いはやみません。

こうした中で、1264年、エステ家が、君主として登場し、このファミリーの下で君主政権が確立します。その後、法王と法王派を敵に回しての闘いは続きますが、1391年に法王ボニファチョ9世が、フェラーラの大学設立を公認して(フェラーラ大学は世界で最も古い大学の一つです)実質的にエステ家の権力を認めることになります。1452年ドゥーカ ボルソの下で、モーデナや、レッジョエミリア支配も皇帝から認められ、1471年には、法王からドゥカートして正式な承認が降ります。

エステ家は文化庇護者(メチェナーテ)として、文化芸術進展に大きな貢献をします。ここにルネッサンス期の重要なアーチストが集まり(ピエロ デッラ フランチェスカ、レオンバティスタ アルベルティ、コズメ トゥラ)、ルドビコ アリオスト、タルクアート タッソなど、重要な詩人、作家なども集まり、このフェラーラで、ヨーロッパでも最も繊細なルネッサンス文化のひとつが栄えます。

ただ、この栄華は短く、1598年、エステ家の最後の子孫が亡くなると共に、もともと法王封土下にあったこの街はその支配下に入り、その後1400年代1500年代のような政治的領地的なキーポイントでもなくなったフェラーラ、1860年イタリア王国に統一されるまで、ほとんど歴史の歩みから見捨てられたままになります。

何度もポー河の浸水で、破戒されたこのあたりは、本質的に魅力的な豊かな土地でもなく、特別な街改造も計画されず、1800年代の終わりから始まった、1900年代の産業革命の波に大きく巻き込まれることもなく、ほとんど忘れ去られたまま、エステ家の栄華の眠る街になったのです。

忘れ去られた街、置き去りにされた街、これが、フェラーラの特別の魅力の理由です。

中世の遺産を受け継ぎ、ルネッサンス文化が栄えたあと、1500年の終わりに、時の止まってしまった街、そんなことも、この街の今日の雰囲気に影響しているのでしょう。

フェラーラは過去が息づいている街です。この街が世界遺産になったのは、この貴重な過去の遺産が、こうしてそのまま残ったためです。そして空間と建築は住む人に無意識の部門で影響を及ぼします。中世をを残し、ルネッサンスの美の理想に基づいて改造された空間に住む人達が、 経済利益と能率性だけを考えて造られた、あるいはそのために改造されてしまった喧騒とした現代の街に住む人よりは、もう少し幸福そうなのはうなづけることです。

(下に写真が続く)

*グロバリゼーションはますます先進国によっての後進国の搾取を勧め、先進国の人々がほとんどの地球のエネルギーを消耗する豊かな生活を送っている現在、後進国からの移民はモラル的にも避けられないことではあります。

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筆/ヴェネチア 公認ガイド 田口やよい

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自転車か歩くだけのフェラーラの町の中心部

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サンジョルジョ大聖堂