アッピア街道: チェスチオのピラミッド、日本人のメチェナーテ、 八木氏の貢献/ローマ

Caio Cestio のピラミッド (イメージ:romaarche.it)

日本人八木氏の貢献で修復されたCaio Cestio のピラミッド
(イメージ:romaarche.it)

アッピア旧街道について、Tommaso Montanariは、こう書いています。

「アッピア旧街道。他のどこでもない。ここだけを、ここの胸の傷むような傷跡(コロッセオからカステリロマーニまで、途切れることのない緑に囲まれて続いていく)に沿って歩いていくと、本当にイタリアの文化の遺産とはなんだか今でも理解することができる。ここだけで、古代の壮麗さの破片が、その意味を明らかにし、生き返る。空と緑の間で、古代の遺跡の生き生きとした魂に触れることができる。

1824年に、偉大な建築家、ジュゼッペ ヴァラディエル (Giuseppe Valadier)が、博物館や倉庫の中ではなく、この街道の両側に遺跡を配置したのは、偶然ではない。ヴァラディエル のあと、ルイジ カニーナ(Luigi Canina)が、その意思を継いだ。彼らは、*ピラネージ(Piranesi)が空想で、再現した旧アッピア街道を、実際に彼ら自身も目の前に見ていて、現実と空想を一つの生きた肉体にした。この生きた肉体は、どんな困難をも乗り越えて、私たちのあとの世代に残していかなければならないものだ。」(新聞「Il  Fatto quotidiano」から/一部)

「胸の痛むような傷跡 」とトマゾ モンタナリが言っているのは、このコロッセオから、カステリロマーニまで続くあたりの旧アッピア街道の両側、過去から現在に渡って、違法建築が増加し続け、今でも、VIPと呼ばれる人々が住んでいる邸宅などがいっぱいで、古代の面影を損なっていたり、そうでない場所は見捨てられたままになっているからです。

このあたりの貴重なモニュメントのひとつが、チェチリア マルテッラ (Cecilia Martella)のパンテオンですが、カイオ チェスチオ (Caio Cestio) のピラミッドも有名です。

旧アッピア街道のこのあたりを、一生をかけて守ったのはジャーナリスト、知識人アントニオ チェデルナ (Antonio Cederna)でしたが、彼が亡くなった後、考古学者リタ パリス (Rita Paris)が、文化遺産保護局のアッピアのモニュメント保護のディレクターになります。このParisの努力で、まだこのあたりは、見捨てられた場所も多いとはいえ、アッピアのいろいろな建物が国によって購入され、修復されます。このParisさんが、日本の八木雄三氏を説得し、二百万ユーロが、八木氏から贈呈され、このチィエスティオのピラミッドの修復が2013年におこなわれました

カイオ チィエスティオは、ローマの神官会のメンバーの一人で、この地位とその収入がこのような個人の墓にしては壮大なモニュメント、ピラミッドを作るのを可能にしたと言われています。紀元前30年にはローマはエジプトを征服し、エジプトのピラミッドがローマでも知られるようになります。この頃に作られた、お墓としてのピラミッドはローマに他にもあったのですが、今残っているのはこれだけです。

今度の修復は、外だけではなく内部もおこなわれ、内部の壁画なども今では見ることができるようになりました。

八木雄三氏は、この出資の代わりに何一つ要求せず、ただ文化に貢献したいとだけ申し出ました。この行為がイタリアでは、ほんとうのメチェナーテの(イタリアやフランスでは、芸術庇護のため、金銭的に貢献する人のことをこの名で呼びます。コジモ ディ メディチなど、昔から文化庇護をした王侯貴族などが、この名で呼ばれて来ました。)行為だと、新聞やインターネットで、評価されています。

八木氏の無償の行為とはうってかわって、今このあたりの修復にも貢献するという名目で、高速道路ソサイエティーの管理の下になる企画が進んでいて、こうなると、国の権利を放棄するような方向に向かい、このあたりの保護が難しくなるわけです。

モンタネリはこう書いています。

「エキスポにつながっているMaurizio Lupiが望んだ環状道路で、ミラノ南部のAgricolo保護地区の貴重な土地を食ってしまった人々が、市民の前にアッピアの寛大な救世主として出てくるのは、正しいことだろうか」と、嘆いています。

 

*ピラネージ: 建築家、画家、版画家。ヴェネツィアの近くに生まれる。ドージェにもなったマルコ フォスカリーニのお供をして、もう1740年にはローマを訪ねる。1755年ぐらいからローマ時代の多くの建築を研究し、空想のローマを描く。特に版画が有名。(注/筆者)

 

チェスチオのピラミッド/見学時間/月曜から金曜まで9.00-18.00
 土曜日9.00-14.00



インフォメーション/+39 06 399 67 700

 

(上記、運輸省大臣Maurizio Lupi氏は、スキャンダル問題に巻き込まれ、今日2015年3月20日に辞職しました。この運輸省につながる高速道路ソサイエティーなどはここ20年間イタリアを取り仕切ってきた人々でしたが、今回大きなスキャンダルが明るみに出て、大臣辞職と頂点の人々の逮捕後、汚職ばかりにお金が流れていたこの省の手をつけている国の大きな工事をストップして、実際に必要な工事に手をかけようと政府は話していますが、実際にどうなるかは時間を持って見守っていかないといけない状況です。2015年3月20日現在)

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筆/ヴェネチア 公認ガイド 田口やよい

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