ゴンドラ: 「ゴンドリエーレ」の著者、リタさんにインタビュー

 

ヴェネツィア観光 ここをクリック2011年に、リタ ヴィアネッロ著「ゴンドリエーレ」が、Ciere Edizione (Verona) から出版されました。

民族人類学に属する本で、学術的な本ですが、読みやすい興味深い本です。今日は、この著者、リタ ヴィアネッロさんにインタビューをしました。

「ゴンドリエレ」は、インタビューに基づいて、お書きになった本ですね?

はい、約40人以上の人々にインタビューをしました。若いゴンドリエーレ、年配のゴンドリエーレ、もうリタイアーしたゴンドリエーレなどに、約二年間に渡って、インタビューしました。他にも、ドキュメント、ゴンドリエーレのファミリーが所有している手紙、写真などが、もとになっています。

とても、興味深いのが、とくに、カザータと言って、昔お抱えで、貴族の家なので働いていたゴンドリエーレの話しですが……..

ええ、ゴンドリエーレには、ノーロ、カザーダ、パラーダと三つの種類がありましたが、ノーロは時間で働くゴンドリエーレ、パラーダはトラゲット(渡し)で働くゴンドリエーレ、そして、カザーダがお抱えゴンドリエーレでした。この中で、ノーロのゴンドリエーレだけが今でも生き残った訳です。トラゲットは今では、ノーロの人々がやっています。

カザータのゴンドリエーレは、今で言えば、お抱え運転手のようなものでした。カザータのゴンドリエーレは、家族と一緒に、雇われているファミリーの家に住んでいました。

カザータのゴンドリエーレは、いつ頃までいたのですか?

1960年代までは、まだカザータのゴンドリエーレがいました。最後のフェルツェ(屋台)のついた船をこいだのが、Pillaさんです。

ピラさんに直接インタビューなさった訳ではありませんね?

ええ、ピラさんの息子さんセルジョさんとビラさんのお孫さんピエールジョルジョさんにインタビューしました。

カザータのゴンドリエーレのその雇用主との特別深い関係について、書いてらっしゃいましたね?

そうです。カザータのゴンドリエーレは、使用人とはまったく違ったものでした。使用人と混同されると怒ったのが彼らです。

雇用主が一番信用していたのが、ゴンドリエーレでした。かっては、商取引、いろいろな重要な会談などは人目を避けることのできるフェルツェの中で、時には、ラグーナの奥で、ゴンドラの上でおこなわれました。こうした重要な秘密な出来事を、耳にしたのがゴンドリエレ達だったのです。誰と誰があったのかを知っていたのもゴンドリエーレ達です。ですから、ゴンドリエーレ達は、もっとも信頼のできる人でないといけなかったのです。

また、例えば、ゴンドラはよく逢い引きの場所としても使われました。こんなとき、固く口を閉ざして、口外しないゴンドリエーレは、主人達が誰よりも信頼していた人々でした。

主人とゴンドリエーレと言うのは、家族以上の関係だったのですね?

そうですね。このことに関して、あるエピソードがあります。第一次世界大戦のとき、戦争に参加したゴンドリエーレが、かってのユーゴスラビア、モンテネグロで怪我をします。それを知ったこのゴンドリエーレの主人ヴォルピ伯爵は、経費をものともせず、モンテネグロまで、人をおくって、この怪我したゴンドリエーレを、モンテネグロまで連れに行かせます。

研究家         リタ ヴィアネッロさん 背景に見えるのはビエンナーレのあるナポレオン公園

研究家、リタ ヴィアネッロさん
背景に見えるのはビエンナーレのあるナポレオン公園

他にもたくさんの感動的なエピソードがあります。主人とゴンドリエーレの関係はとても深い人間関係でした。

そのころのカザータのゴンドリエーレはそれぞれ制服があったんですか?

そうですね、服は独特のもので、特にそれぞれの家の紋章のついたボタンが特徴で、また紋章のついた腕章のようなものを腕にしていました。

ゴンドリエレ、アレキサンドロさん

現役のゴンドリエーレ、アレキサンドロさん                                     片足で、壁を蹴ったばかり。ゴンドリエーレにとって、足は舵でもあります。

特にカザータのゴンドリエーレは、清潔さを要望され、身なりがしっかりしていけないといけなかったのです。(そのうちにカザータのゴンドリエレの写真を掲載します)

ペギー グッゲンハイムが持っていたゴンドラも有名ですね。

でも、ペギーのゴンドリエーレは、カザータの専属ではありませんでした。時間で呼ばれていき、ペギーが好む時間だけ働いていたのです。

60年代の終わりになると、特別な客が来たときだけ、カザータのゴンドリエーレは家のウエイターとしても働きます。ある意味でそのころゴンドリエーレがサービスするのがとてもシックだと思われていました。

その後こうしたカザータのゴンドリエーレはなくなる訳ですね?モーターボートの方が使いやすくなっていきますね。

そうですね、家族ごと家の中で使用人を住まわせる貴族も少なくなりますし、モーターボートも一般に使われるようになりますし、生活のリズムも変わって、何もかもが変わってくる訳です。

今では、ゴンドラはツーリスト用になって、こうした昔のゴンドリエーレのことを知っているゴンドリエーレは少ないと思いますが….

そうですね、今若いゴンドリエーレはこうしたことを知りません。でもゴンドリエーレのファミリーに生まれた人は、親から聞かされてよく知っています。この人達は今でも、ゴンドリエーレのモラルを持っています。誇りも高いのですが、今では、ゴンドリエーレのライセンスが、売り買いされるようになり、試験に受かれば誰でもゴンドリエーレになることができるようになって、ゴンドリエーレの世界も変わりました。昔からのゴンドリエーレも少なくなりましたが、いない訳ではありません。この人達は、ゴンドリエーレの昔からの倫理を知らない新しいゴンドリエーレを非難しています。

昔からのゴンドリエーレは、伝統を守っていきたくて、親切さや、思いやりなど大切なことと考えています。何よりも昔からのヴェニスの後継者という誇りを持っていますが、新しい人達はついつい商売だけに集中してしまいますので、これが、昔からのゴンドリエーレ達にとっては悲しいことだと言っています。

 

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リタ ヴィアネッロ 田口やよい共著、インタビュー「ヴェニスのゴンドリエーレ」は、今、日本の出版社を捜しています。

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筆/ヴェネチア 公認ガイド 田口やよい

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